「かもめ食堂」「めがね」「プール」映画の感想
映画の感想は、文字のほうがまとめやすいということに気付いたので、こちらで残しておきます。※ネタバレ含みます
FILMARKSに書いた感想まんまです。
【かもめ食堂】
ーーー以下、感想ですーーー
8年ぶりに見ました。
これがもうかなり好きでした。
雰囲気から、映画で大事にしている視点から。
「いきさつやここに来た理由より、ここで出会って一緒に生きている、日常を紡いでることが大切なんだ、素敵なんだ」
という風に映画を通して感じました。
かもめ食堂では、一人が二人になり、初来客が常連になり、友だちになり、嫌な客がひょんなことから心を開きそんな「少しずつ一人ずつの出会いが効いて、素敵な日々に繋がる」映像が見ていて和みました。
この監督の映画は、「食卓」シーンを大事にしていますね。そこも好きです。
辛くても悲しくても、お腹は減ります。
誰かのつくってくれたご飯は、時に心に染みます。みんなとそんな、心に潤いを与えるかのように囲う食卓、ご飯のシーンがどれも素敵でした。
特におにぎりをたくさんにぎって、旦那に逃げられて自暴自棄になっていた夫婦と食堂の三人でのご飯。よかったですね。無言で、でも満足げに食べるみんな。
それぞれが何か大切なことに思いを馳せて、食べるお握り。いいなぁ。おにぎりって、愛だよなぁ、、なんて思いました。
私もああやって、丁寧に今を大事に生きたいな。小林さんの「その人がいいと思ったらそれがベスト」という考え方も、人への関わり方、おせっかい具合もなんというか、愛というか、あったかいんですよね。
もたいまさこさんの謎のコミュ力と存在感はさすがでしたね。
スーツケース、中に大量のきのこ入ってましたね。森で、拾っていたのになくなっちゃったやつですねきっと。
「人が持てる荷物の量は決まってる」
ようなことを示唆してるのかな?と思いました。スーツケースの中身はきっとほんとはいらないんだ。スーツケースの中身か、きのこか、どっちかしかもう持てないよ。というような。
ほんとは大それた理由もきっかけも荷物も、いらないんだ。ただそこで自分で在ることで、人と繋がって、何か新しいものが生まれたり、感動が生まれたりするんだ。
そんな風に語りかけられているような気持ちでした。
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【めがね】
ーーー以下、感想ですーーー
かもめ食堂がよかったのでこちらも続けて視聴しました。
これもまたしてもよかった。多分この監督の作品は好きだ。視点や大事に描こうとしているところに共感ができる。
一番すきなシーンは、主人公たえこさんが嫌がりまくっていた「メルシー体操」をノリノリで踊ってるシーン笑
あぁ、もうすっかり心を許してたえこさん「らしさ」が滲み出てきたな、と。
正直朝起きてもといまさこさんがいたらめちゃビビるしあれはどうなの?と思うが笑
嫌な領域の入られ方をすると、ああなるのは分かります。それでもそこの人たちが大切にしている習慣とかに溶け込んで順応していくと「意外といいな」と思えるたえこの心の溶けていく様子は見ていて居心地のいいものでした。
そしてこの映画はなんといってももといまさこさん。彼女の映画でもありますね。
ふらっと春にだけ予告もなく現れて、かき氷を作って、ただただそこで思うように過ごす彼女、素敵ですねぇ。
手間暇かけたあずきたっぷりのかき氷。おいしいんだろうな。「かき氷苦手」とか、「好き」とかの概念を越えたさくらさんの「愛を知る形」ですね。
かき氷の、物々交換制もよかったです。
その人が価値あると思うものと交換する。さくらさんはきっと自分が価値あると思うものしか人に提供しない人で、それに島の人が応えて、その彼女の生き方在り方に惹かれて。
みんながさくらさんのファンなのが、おもしろかったです。でもその気持ちわかるなあ。
場所やアクティビティより、「その人がいるなら行きたい!」という気持ち。人は人に惹かれて集まるものだと思います。
メルシー体操踊りたいな笑
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【プール】
ーーー以下、感想ですーーー
荻上直子監督の作品、かもめ食堂とめがねを続けてみて、次にNetflixで見れるキャスト雰囲気が似ていそうなこちらを見ました。
荻上直子さんの作品とは少し雰囲気が違う伝えたい視点が違うかな?とは思いましたが、好きな類いの映画でした。
まず、舞台がのどかでゆったり自然にかこまれたタイのチェンマイ郊外(?)というところで、映像、自然のとけこんだ音雰囲気がそれだけで美しい。
娘役のかなさんの「一緒にいたかった」気持ちは分かるけど、母親の小林さんは自分軸をしっかり持った結果のこと。
娘への(私がいなくても大丈夫)という信頼(愛)があるので娘は平気だという、残酷にも思えるが娘を見込んでこその自分の好きに行動がてきた側面があるように感じた。
娘がどう思うかは、結局母親が関与できるところではなく、母親だからといって彼女なりのタイミングが来たのにそれを娘のワガママで逃すことは、個人的にしたくないと思う方なので…
個人的には小林さんには共感できました。
ただ、娘さんが母と一緒にいたかったと伝えるシーンは素敵でした。
結局は、「わかってほしい」「こうしてほしかった」という願いは必ず誰しも幼少期、ある程度大人になってからも胸の奥底に残っているものです。
それが、この親子の場合はこういう分かりやすい形だった。それを本人から親に伝えられた、このことに大きな意味があると思います。
結局人は自分がしたいように生きるべきと私は思います。それにより犠牲にするものは、ちゃんと受け止めて背負う、その全てを娘の母親の訪問というストーリーで描きたかったのかな?と思いました。
小林さん、母親の愛の形、私は好きだなーと思いました。あとビーが可愛かった。
小林さんから教えてもらった「君の好きなはな」の歌詞通り、(小林さんの大事にしている価値観)さよ、娘に愛を持って近付く姿も素敵でした。 嫌なことされたのに、「僕はあなたが好きです」という返しです。愛おしくてたまりませんね。
三人でプールサイド歌うシーンはほんとによかったです。
言うまでもないですが、もたいまさこさんの
足りない部分をいい感じに深みを与えつつ補完する役回り、さすがですね。
あ、あと、主題歌よかったです。
ハンバートハンバートの「タイヨウ」
小林聡美さんもいい役者さんやなあ。
劇中歌の「君の好きなはな」は、小林聡美さん作詞作曲されたとか。好きやなー。