「付き合う」って、厚かましい。
恋愛とは、必ずしも「これが恋愛で、それは恋愛じゃない」といった基準があるわけじゃないと思う。
最近、ある男性に特別な感情を抱いていたのだが
それをどう形容するのが正解なのかよく分からなかったのだ。
「ドキドキするか?」と言われれば、全くしない。
ただ、2,3日に一度ぐらいは会いたくなるし、常に彼のことを考えもしていた。
これは彼とも直接話したが、「恋愛というより、家族だよね」
ということらしい。
しかし、私の意図した「家族」という意味と、彼が意図したそれには少し齟齬があったように思う。
彼は私を「妹みたい」と形容したが、私は、彼を兄とは思わない。ただ、私の日常に彼がいてくれるのが自然で、家に帰ったら「おかえり」「ただいま」と当たり前のように声をかけあって、何の気負いもせず会話をする間柄というか、まぁ、そんな感じなのだ。
予定を合わせてデートをするのが何か大げさで、そんな駆け引きのような、恋愛のいわゆる王道ステップ(2回3回と食事や出かけることを重ねて告白的な)のようなものを踏むより、ただ私の日常に彼がいるといいなぁって。
最初から、私は今回の恋愛(?)が従来のような典型的ないわゆる異性的に惹かれる部分があり、ドキドキして、駆け引き的なことがあるものとは違うと認識していた。
それでも、一目彼を見た時から懐かしい感覚があって、お互い知っているような感覚があって。一目ぼれのような高揚感はないけれども、「これからたくさん会って大切な存在になっていくんだな」という感覚はあったのだ。
今回私と彼との間で経験したのは、「恋」ではなく、「愛」だったんだろう。
「恋」という相手に焦がれ、そのことで頭がいっぱいになることを形容する単語があるのであれば、
私が今回彼と体験していたのは「愛」だったんだと思う。
本人がただ楽しそうに自分を精いっぱい表現する姿に、私の心も開放されるのだ。
彼に何を求めるでもなく、ただ彼がありのまま自由でいるということが私にとっての幸せだったのだ。
「愛おしい」とか、「側にいると、触れると安心する」とか、そんな感じなのだ。
向こうも、そういう風に私を「愛でる」ような態度で接していたなぁと思う。
よくわからないけど、大切な存在で、常に考えていて、一緒にエネルギーを拡大していきたいなって感じの相手。
けど私は彼に、「形」を求めてしまったのだ。
正式に、「付き合ってほしい」とか言ったわけではないけれど、(そもそも、私も付き合う、彼女/彼氏という感覚はまだなかったので)
今思えば私は「付き合う」とか、「パートナー」とか、「大切な存在」という彼の特別たらしめる称号を欲していたのだと思う。
私は彼のことを家族とは言っても、彼が他の女性を特別視することは嫌だったし、隣に私以外の女性が常にいるのも嫌なのだ。
私を特別にしておいてほしかったのだ。その立ち位置はやはり私がよかったのだ。
これは私が彼に求めてしまった「型」というエゴだ。
裏を返せば、型や契約なんてなくても、大切な人は大切だし、
お互いが大切と思い、何かしら特別な感情や感覚を共有していて、信頼しあっているなら、それでいいんだと思う。
私はそういう意味で、彼への信頼が足りなかったのだろうか。
「型」にはまってないと、安心できないと思っていたのだろうか。
彼は、私と「家族みたいだよね」という会話をして数日後に、彼女ができたらしい。
ちょっと2人で会ってすぐ付き合うことになったというから驚いてしまった。
そこまで大ダメージというわけでもないけれど、釈然としなかったし、横取りされたように思って、二人に対して苛立った。
「妹」という表現はしつつも、彼の私に対する特別な眼差しはちゃんと感じていたし、
いつも私にスキンシップしたがっていたり、好意を口にすることも多くやはり愛を感じていたもの。そう、恋ではないけど、愛をね。愛情をちゃんと感じていたのだ。
二人の間に走ったものは「恋」だったから付き合ったのだろうか?
それが、家族のような安心感を与えあう「愛」ではだめだったのだろうか?
彼と私にしか分からない空気感や関係性をお互いが大切にしていたらいいのかもしれない。
けど、彼氏・彼女がいるとなるとやはりそちらに優先感が出てしまうのだ。というか、感じてしまうのだ。
事実、彼女より私を優先するということはもうないのだから。
これが、釈然としないのだ。
「付き合う」という契約は、こういう何か恋とは別で形容しがたい大切な関係性に対する呪いのような気がする。「付き合う」という型は、なんて厚かましいんだ!
今回の(恋)愛は、長期戦と思っていた。
いわゆる恋愛的な感情ではなかったけど、彼をちゃんと「好いていた」し、愛情を持っていた。すぐにどうこうという訳ではなかったけれど、長くこの家族のような夫婦のような関係性を歩む先に、私たち二人だけの何か、「愛」の形があったと強く思う。
それは、既存の「付き合う」とか「彼氏・彼女」という言葉ではしっくりこないものかもしれないけれど、私たち二人を形容する何かが絶対にあったはずなのだ。
そこに、「付き合う」型にはまった「彼女」が乱入したことにより、なんだかとっても不貞腐れてしまったのだ。
そう、私は不貞腐れている。
飼い主が奪われたペットの犬のように。
めちゃめちゃ吠えてるのだ。
「それ、私のなんですけど!!離れてよ!!」
ってね。 そうか。この感覚に近いのかもしれない笑
人間関係は個対個。
きっと百万通りの関係性があって、雰囲気があって、様々な形の愛が流れているのだろう。
そういった、人との関係性をフラットに、社会的な観念や型にとらわれず
お互いがハッピーな形を模索して探していけるといいなと思う。
モヤモヤ整理のための超個人的な恋とか愛とかについてのアウトプットでした。